「解像度高く」自身・他者を理解するきっかけとなるツール - 追加
「解像度高く」他者を理解するきっかけとなるツール4つというエントリーを書いてもうすぐ5年近くが経つ。
そこでは、Acumen時代に初めて存在を知ったKeirsey Temperaments Sorter、HSP(Highly Sensitive Person)診断テスト、ニューヨークタイムスの記事で存在を知ったThe 5 Love Languages、そして、コーチたちの間で比較的有名なPQ (Positive Intelligence)のSaboteurテストについて紹介した。特に4つ目の、自分の可能性を阻害しうるサバターにはどういうものがいるのか、という診断ツールは自己成長の文脈でもチームビルディングの文脈でも有益な便利なものとなっている。
世の中には何万とアセス・診断ツールが存在する中で、今日のエントリーでは以下の3つについて整理したい。コーチ・リーダー育成のプログラムデザインをする自分が「使えるな」と思ったものだったので。
1. PrinciplesYou
著名な起業家・投資家であるRay Dalioが心理学者Adam Grant、Dr. Brian Little、Dr. John Goldenとともに開発した無料のパーソナリティ診断ツール。Rayの著書「Principles: Life and Work」が出版されたのは2017年。おそらくアセスはその数年後にリリースされていたもの。
ツール自体は、Big Five(ビッグファイブ)をベースにしながらも、それだけにとどまらず、12の主要な特性、36のサブ特性を測定し、28のアーキタイプから最大3つにマッピングしてくれる。https://principlesyou.com/assessment
ポイント:
具体的には、How You Prefer to Think(認知)How You Engage with Others(対人)How You Apply Yourself(行動の傾向)の切り口で自己理解を促進してくる
自分と他者との相性分析ができ、チームビルディングにも活用可
自分が無意識に避けがちな環境や、人との関わり方の傾向に気づける(9ページの無料レポートに、8つのシーン別にそれぞれ「あなたはこういう傾向がある」という具体が示される
ウェブサイト上に振り返りシートやワークショップのサンプルなど無料リソースが充実https://support.principlesus.com/resources-and-exercises
コーチとしてPrinciplesYou Certified Coachの資格を得ることができるhttps://www.coaching.com/principles/certification/
https://principlesyou.com/archetypes に紹介されている28のアーキタイプ
Impresarioは日本語で興行師とのこと。より一般的に知られている16 Personalitiesで自分はProtagonist (ENFJ-A)(主人公)だったし、KeirseyではTeacher(ENFJ)だったので、ネーミングのニュアンスが違っていて面白い。
2. The Four Tendencies
作家・Gretchen Rubinが『The Four Tendencies』 という本を2017年に出版した時に合わせてリリースしたもの。
外からの期待(例:締め切り)と、自分自身の内なる期待(例:毎日朝ランをする)にどう応える傾向があるか、という観点から人を4タイプに分けるシンプルなフレームワーク。1.のように理論や臨床的な精度を求めるものではないけれど、コーチングやトレーニングを受けた後のアクション・コミットメントに対する日常的な傾向を理解する上で便利そう。https://gretchenrubin.com/four-tendencies/
Upholder(自分にも他人にも応える)
Questioner(内側には応えるが外からの期待には理由が必要)
Obliger(他人の期待には応えるが、自分の目標には弱い)
Rebel(どちらの期待にも反発する)
ちなみに自分はこれ。自分の外にアカウンタビリティの仕組みをつくらないと、自分の目標達成・自分で立てた新年の抱負などを守ることが難しいタイプ。
ポイント:
習慣形成や行動変容に悩んでいるときに、対策が立てやすくなる
家族や職場の人との違いを理解する手がかりになる
たった12の問いに答えればよく、クイック診断が可能
ウェブサイト上に、このアセス結果の使い方のtipsなどが整理されている https://gretchenrubin.com/four-tendencies/
3. The Values Bridge
HBRの元編集長だったSuzy WelchがNYUのビジネススクールで教えていた授業の内容をもとに作られているテスト。彼女の著書「Becoming You: The Proven Method for Crafting Your Authentic Life and Career」は今月(2025年5月)出版。それがきっかけで初めて知ったこのテスト。
自分の大切にしている価値観を振り返る方法は物理的なカードを使ったものから、ハーバードのThe Good ProjectのValue Sort Activityなどすでに存在していて新しい話ではない。でも、このValues Bridgeは、自分の中で何を大切にしているか、そしてその価値観が今の生活とどれだけ一致しているか(Authenticity Score)も測ってくれる点が斬新。
もちろん15の人間のコア価値観をもとに自分の大切にしているValues DNAが視覚化される。
デザインやUIもモダンで使いやすく、他人との比較機能もあり、パートナーやチームとも簡単に使える。https://thevaluesbridge.com/
ポイント:
価値観の「調和」や「葛藤」の分析もあり、ストレス源の発見にもつながる
無料レポートだと5つの価値観のデータしかみることができない(それでもなかなかリッチではある)
2.の開発者のGretchen Rubinのポッドキャストに3.のSuzy Welchが登場した時のエピソードはこちら⬇︎
無料で大切な価値観のtop5だけは出してもらえる。Scopeのところには「you crave a big life—one filled with adventure, travel, friends, constant learning, and new experiences. 」というようなことが書いてあった。Non Sibiとは初めてみた単語だったけれど「The term Non Sibi comes from the Latin phrase "non sibi sed aliis", meaning "not for oneself, but for others."」ということで、personalでdirectなインパクトを生み出すのを好む、ということが書いてあった。面白かったのがScopeとNon SibiはAuthentic Gapがゼロ。つまり自分の理想とするレベルに体現できている、らしい。一方Voiceは25%でまだ実現余地があり、BelongingとFamilycentrismはそれぞれ-28.9%、-48.6%で少しtoo muchな部分もあるらしい。産後2.5ヶ月で家にこもっていることも影響しているのか?!
全体のAuthenticity Gapは15%とそこまで大きくはないけれど、前述のように、個別のValueベースではAuthenticity Gapのスコアがかなり違うので、そちらを細かく見たほうが色々考えられることがありそう。
どれも英語onlyというところが、人によってはネックになるかもしれない。とはいえ・・・個人的にはこれらのツール(特に1と3)の可能性をもう少し模索してみたい気持ち。こういうのがUI、デザインも洗練された形で、ここ数年立て続けにリリースされていることが個人的にはとても興味深いと思っている。
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