家族というシステムに起きた静かな変化──10週目の娘の成長から

二人目が生まれて2ヶ月ちょっと。多くの人に「how is she?」「how are you?」と聞かれることが多い。その度に私や彼は「she sleeps so well!」と答える。

私たちの唯一の比較対象は2020年に生まれた息子で、彼は本当に寝てくれなかった。寝たと思っても1時間もしないうちに起きてしまったり、彼に完全に家庭全体が支配されていた当時。それに比べて、娘は生後1週間後には夜を長い間寝てくれる、それはそれは親孝行な子である。夜の11時から12時の間に私とベッドへ。co-sleepingというスタイルで自分の横に並べて就寝。次の朝7時くらいまでに一度起きることはあるけれど、また寝てくれる。そんな娘。おかげで妊娠中よりも、妊娠前よりも母の私の睡眠サイクルは安定するようになった。

そんな彼女もなかなか難しいのが夕方(黄昏時)前後の眠くなる時で、どうしても私かパパが抱っこして寝かしつけるということを必要としてた。それでもギャン泣きが続き、こっちも疲弊。でもそれ以外のやり方もわからず、寝落ちしても動かすと起きてしまうので、親のどちらかがソファに座り、彼女はその上で寝る、そんな日々を送っていた。

大人二人のうち一人は身動きができない時間ができる。

ギャン泣き中にパパがあやす、私は家族の夕飯をつくる、4歳児の息子に夕飯を出す。私は5分くらいで食べる。

パパとバトンタッチで私が寝落ちした娘を抱っこしてソファに座る。その間パパは息子とご飯をたべ、その後お風呂にいれて、お風呂後のフルーツをあげ、息子の寝かしつけまでをやってもらう。

息子が寝たあとは、二人で交代しながらなんとかこなす。

・私のzoomコール

・洗濯物をたたむ

・シャワーをあびる

・食器を洗う

・ゴミ出し……

そんな “タスクの嵐” を、11時半くらいまでになんとか終わらせて、やっと就寝。

そんななか、最近娘が、「夕方〜early eveningにかけて、バシネットで一人で眠れるようになってきた」という変化がおきた。そのために、私たちは心を鬼にしながら、彼女が夕方ギャン泣きしているのを10-15分ほど放置する、というのをやった。

そうしたらたった1日で、一人でなんとか寝る・寝たままでいる、そのスキルが少しずつ育ちつつあることが確認できた。

奇跡・・

それまでは、「夕方以降は片方が常に抱っこ、もう片方が最低限の家事」という感じだった我が家。あまりに自然に、無意識のうちに「この時間帯は余裕がない時間」として認識していたけれど、ほんの20分、30分でも「抱っこではない時間」が生まれると、世界が変わる。

寝る前にやりたいこと・やるべきことが11時半より前にもっと早く終わるから少しゆったり休む時間も確保できる。それがたった30分の追加フリータイムだとしても精神的なインパクトは甚大。

時間の質が変わると、思考の質が変わる。
身体の緊張がほぐれると、言葉のトーンが変わる。

こんなに心が晴れ晴れとして1日を終えられるのなんて。

そして、この変化を通じて、あらためて「システムとしての家族」という見方が、私にとってどれだけしっくりくるものかを再確認した。

私は昔から、物事を”要素の相互作用”として見るのが好きだった。

思えば、学部時代は環境デザイン学科にいて、 「物理的な空間設計が、人やチーム、組織にどう作用するか」 そんなことを勉強していた。

社会人としての最初のキャリアは株式アナリスト。一見、数字と理屈の世界に見えて、実際は 「企業業績 × マクロ経済 × 投資家心理 × 株価の動き」 のように、様々なレイヤーが影響し合う複雑なシステムを読み解き、先回りしようとする仕事だった。

そして、個人的な話で言えば、幼少期から付き合ってきたアトピーも、体調・食事・気候・ストレスなどの相互作用を理解し、対処していく中で、自然と「システム思考」が染みついていったように思う。

いま、自分がいちばん関心を持っているのは、 「子育ての現場における家族システム」というテーマ

親と子の関係性だけじゃない。親同士の関係性。

子どもが受け取る外部からの刺激(保育者、先生、友達)。

そして親である私たち大人が、それぞれの人生で抱えている背景。 (仕事、過去の経験、トラウマ、健康……)

そういう見えない要素も含めた相互作用の中で、家族は日々動いている。

今回の娘の小さな成長の一歩が私たちの家族に起こしたさざ波は、そのダイナミクスの存在を再確認させてくれるいい機会となった。これからも、こういう「小さな変化」が私たち家族というシステムに、どんな影響を与えてくれるのか。楽しみながら、観察していきたいと思う。

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