AIにサポートしてもらいながら個人ウェブサイトを更新したら、創造的学習のスパイラルを回していた
今年も気付けば10月。今日は最近色々な人と話すことが増えているテーマについて書いておきたい。
それは「個人のウェブサイトを作成する過程とCreative Learning Spiral(創造的学習のスパイラル)」のつながりについて。
ここでいうCreative Learning Spiralとは、プログラミングツールのScratchを開発したMitch Resnickの提唱している考え方。Claude CodeをはじめとするAIツールが身近になった2026年において、個人のウェブサイト*を作成するというプロセスをぐるぐる回すという体験を繰り返している中で、15年以上前に知った学びのフレームワークの思い出した、という話である。
*ここでいう「個人のウェブサイト」は、portfolio website、個人事業主のcompany website、専門性の軌跡を表現するpersonal siteなどをざっくり含んでいる。
「自分は何者?」と問い続ける、ウェブサイト制作過程
ビザを申請した2024年の夏、必要であったこともあり、自分の法人のウェブサイトを立ち上げた。当時はそれまで、慣れ親しんでいたSquarespaceを使って、それっぽいものを即席でつくって公開した。
その後も、個人事業主として「誰に何を提供する会社なの、その創業者である自分は何者?」という問いに向き合うタイミングが訪れたタイミングでちょこちょこと更新していた。
ちょうど1年前、作ってから1年半弱が経った段階で、「納得するものができたぞ」と思えるようになり、このブログでも紹介した。
過去エントリー:独立しました - 法人のウェブサイトを更新しました(2025年10月)
2012年からGoogleのBloggerというツールでブログを始め、その後2023年にSquarespaceに移行し、その間にもポッドキャストedamametalkのためのサイトもSquarespaceで制作したり、していた自分。non-technicalな人間(コーディングとかデザインのことがわからない素人)としては、「オンラインで自己表現をする場を作る」ということを比較的やってきた方だと思う。
そんなタイミングで2024年に個人事業主になったのと、websiteの有無に関係なく、紹介や既存のつながりをもとにお仕事の機会をいただいていたこともあり、ビザ申請のために作った素人感溢れるウェブサイトは長い間そのままになっていた。
意識が変わるきっかけとなった、パートナーのレイオフ+彼のウェブサイト
そんな自分の意識のレベルが変わるきっかけになったのが、一緒に生活しているパートナーの突然のレイオフ。
UXデザイナーとして働いていた職場がAIの波の影響でチームを縮小し、彼もその影響を受けた。
デザイナーの転職活動には履歴書以上に、何をデザインしてきたか・どういうプロセスでデザインをしてきたかを可視化するportfolio websiteの存在が不可欠。
私からは想像できない世界だが、彼はレイオフ後、次の職場探しのための応募を急がず、ネットワーキングに時間を投資するわけでもなく、1ヶ月ほどかけて納得いくまでportfolio websiteを更新していた。
もともとデザインが好きでその道に入った彼ではあったが、直近までいた職場ではb2bのプロダクトのUXデザインをしたり部下たちの育成やマネージメントに追われる中で、その組織の外の最先端の動きに触れる機会がすっかり減っていたようだった。
そんな中、組織の外にポンといきなり放り投げられた「おかげ」で、改めてデザインの世界における最先端や、自分の足らざるを肌で感じる機会を得て、デザイナーとしてのやる気にONがついた彼。この機会に、と、最先端の情報や業界のリーダーたちの発信内容を吸収し、自分のPCでもパチパチと色々なツール+AIを使いながら創作作業を楽しんでいた。
そうやって生まれた彼のportfolio websiteは素人の私から見て、とても素敵だった。
横で見ているだけで、自分も変わった
そして何より、私がClaude Codeを使ってヨイショヨイショとウェブサイトに小さな改善を生み出しているのとは、全然違うやりかたとスピードとアウトプットの幅で自分のportfolio websiteを具現化しているではないか。いや、自分ではClaude Codeを使った「改善」も相当のアップグレードで満足をしていたのだが、
「え、そういうふうにやるの?」「そんなこともできるの?」
横でチラッと見ているだけでも刺激を受ける私。
もちろん UXデザイナーの個人サイトと学びのデザインやコーチングをサービスと提供している法人のサイトはそれぞれ醸し出したい世界観とか想定している読み手が違う。違うのだけれど、「なるほど、そんなこともできるのか、じゃ、私もこういうのほしいな」という刺激は十分に受けることができた。
刺激を受けながら、自分がAIツールに対して打ち出すプロンプトが、どんどん変わっていく。
そうすると出てくるものも自分のそれまでの想定を超えたものになっていく。
具体的なものが出力されてくるからこそ、それに対して自分の中から具体的なフィードバックやさらなるビジョンが湧いてくる。それをAIに伝えて想いを言語化・アウトプットを変えていく。そこから出てきたものを見て、また振り返り、フィードバックをする・・・・と、いう感じで試行錯誤の道のりが続く。
そんなことがこの2週間くらいの短期間でガッと起きて、自分の会社のwebsiteのデザインが大きく変わる。そんなことを体験した。
まわりでも起きていた、中毒性の高いプロセス
そして、このプロセスはデザイナーの彼もそうだし、横でそれをみて刺激を受けていた私もそうだけれど、中毒性が高い。しかもそれは私たちだけではなさそうだ。
ここ2週間の間に話した友人二人。一人は会社に所属しつつも、コーチングを副業でやろうとしている人。もう一人は私のように個人事業主をしている人。二人とも同じようにClaudeツールを使ってwebsiteを作成したということでその話で盛り上がる。
一人は3つ違うサイトをつくってABテストもしながら、ようやく今のものに落ち着いた、と。やはり0→1にかかる労力もコストもAI前の時代とは全然違うから、試作品をつくるのは簡単だ。
もう一人は、Claudeを使って自分のサイトを作り・更新し続ける作業の中毒性が高すぎるから「もうこれ以上更新はしないと自分に約束することが必要になった」と言っていた(笑)。
ほかにも、比較的長い間個人事業主をしている友人は、今のサイトだと自分のユニークな強み・差別化要因がうまく伝わっていない気がするから、なんとかしたいと思っている、と言っていた。
類は友を呼ぶ状態なのかもしれないが、LinkedInで流れてくる投稿も含め、こんな感じで自分(+自分のサービスや自分の仕事の軌跡)を表現している人が周りにすごく増えている。
確かに自分だけの唯一無二のサイトを作る、という作業はクリエイティブで楽しい。中毒性の点もわかる。
本当は仕事しなきゃいけないのに、ついつい、サイトのほうを見てしまったり。
これ、Creative Learning Spiralだ
そのとき思い出したのが、ハーバードの教育学大学院に留学したときに初めて出会った、ミッチ・レズニックのクリエイティブ・ラーニング・スパイラル(Creative Learning Spiral - 創造的学習のスパイラル)という考え方。これはプログラミングツールのスクラッチを使って、子どもたちが創造的に学び、遊ぶときに何が起きているかを説明したフレームワークである。
関連エントリー:MITのScratch Projectでのインターン(2012年11月)
関連エントリー:Piaget教授の構成主義とPapert教授の構築主義(2013年2月)
そのフレームワークでは、学びが5つのステップを行き来しながら、らせんを描くように続いていく。
思い描く(Imagine)、創る(Create)、遊ぶ(Play)、共有する(Share)、振り返る(Reflect)、そしてまた新しく思い描く。 同じところをぐるぐる回るのではなく、回るたびに少しずつ広がっていく。 (参考: All I Really Need to Know (About Creative Thinking) I Learned (By Studying How Children Learn)in Kindergarten, The Lifelong Creative Learning Spiral)
自分のウェブサイト作りを重ねてみると、こうなる。
思い描く:こんなサイトにしたい、と描く
創る:Claudeに伝えて、形にしてもらう
遊ぶ:出てきたものをいじってみる、「こうしたらどうなる?」と試す
共有する:彼や仲間に見せる、周りの人のサイトを見る
振り返る:「何か違う」「これが言いたかったんだ」と気づく
しかも、周りの人のサイトを見てインスピレーションをもらったり、対話が始まったりすると、さらに回る。これは本当にクリエイティブラーニングのスパイラルだな、と。
自分の中にある想いや表現したいこと・うちから湧き出るものをギュッと可視化する。
他者(あと自分)に見えるように創って、出す。
Claude code - Github - その先(私はCloudflare)など、人によってtech stackは違っても、創るを楽しみながらプロセスから学ぶ、自分が始める前には想像もしていないアウトプットが自分の中から出てくる。
AIツールの使い道の一つとして、こういう世界があるのだな、と、学びの専門家・コーチとしてワクワクしてきている、というのが今回書きたかったことになる。
一人ではたどり着かなかった気づき
でも、これは一人ではここまでのアウトプットにたどり着かなかった。自分よりtechnicalの世界の専門性をもってて、こういうことも作れるんだよを一歩先で見せてくれる彼や、私と同じように色々試行錯誤している、色々なフェーズ・所在地にいる仲間達の存在や彼らとの対話があったからこそ、たどり着けた。
だからAI x 自分、だけじゃなくて、自分の置かれた環境の中にあるもの・人との相互作用で起きたことである、ということも強調したい。
その上で、この体験をもとに学び・人事・キャリア・コーチング・AIという文脈で書きたいことは結構あって、5回シリーズで書こうとおもっている。
2回目は、non-technicalな私がBloggerからSquarespace、GitHub、Claude Codeへと歩んできた回り道の軌跡、回り道をしたからこそ、つまずく人の気持ちが分かるという話
3回目は、AI時代にレジュメやLinkedInが似てくる中で、人づてのつながりにも効く「私はこういう人」を伝えるサイトの意味
4回目は、パートナーのデザイン力で自分のサイトが生まれ変わった話と、専門性の掛け算について
5回目は、ウェブサイトづくりの「種」と、コーチや学びのデザイナーの仕事がこれからどう変わっていくか・・みたいなことを書きたいとおもっている。
